いわゆる神経とは歯髄という組織のことで、鍾乳洞のように複雑な形をした迷路の中に存在しています。お口の中、さらには歯の中にある組織のため、それ自体が小さく狭く、そこに到達するまでが極めて困難です。歯髄は歯によって何本にも枝分かれしていたり曲がりくねっていたりと様々です。
そのため、歯の神経を取る治療には多くのリスクが伴います。処置自体を失敗してしまう確率が高かったり、器具の折れ込みなどの事故が起こりやすいほか、歯根の先に膿の袋ができたり、歯が劣化して割れてしまい、歯の寿命が大幅に短くなるケースも少なくありません。また、早期に歯を失うことで、他の歯や顎全体への悪影響も懸念されます。
神経を取る治療自体の精度を上げることも、もちろん大切です。しかし、患者様の歯を1本でも多く健康な状態で残すためには、神経の温存が可能な歯においては、できる限り「神経を取らない」方法を選択した方がより良いと考えております。
当院ではMTAセメントを使った神経を残す治療ができるようになりました。患者様のお口と全身の健康を考えたとき、長い目で見てその治療には価値があると考えます。